K4-GP '2013 Sepang 24-hours challenge

K4-GP主催者、そして偉大なる軽四レース、セパン24時間耐久レースを開催されておられましたマッドハウスの杉山哲氏が、
平成25年3月30日午後3時40分、天国に旅立たれました。
YRSは、K4-GPには富士1000kmからセパン24Hに至る3レーしか参加させて頂いていない新参チームですが、
杉山さんの主催されるレースを通じて勝てなくても楽しいレースとは何かを知り、
規則で縛らなくてもレースが成り立つ事を教えて頂きました。
K4-GPの世界ではサーキットの景色が違って見えることを肌で感じました。
そして、自分がこれから目指す先を見つけさせて頂きました。
これからは杉山さんから学んだことを、少しでも多くのモータースポーツファンに伝えていく事を、ボクの使命とします。
マッド杉山氏追悼の意味を込め、ほんとうに楽しいレースとは何かを皆さんに知って頂くため、
激闘セパン24時間「エッセ123号車とオレの挑戦」をアップ致します!


☆挑戦セパン24時間☆

Sepangs Prologue
いよいよ本文に入りますが…
その前に一言・・・
オレは、このレースに出るためにたいへんな苦労をしました。(爆)
漠然とセパンを目指していたところからゼッタイに行こうと心に決めたのは、今回優勝されたねこまるさんとブログで交わした「思い続ければ必ず叶う」という言葉からです。
その時から「絶対にセパンへ行くぞ!」と強い意志を持つようになり、ベース車両が手に入ってからはさらに拍車が掛かり、セパン24時間は次回が最後になるというウワサを聞いてからは、もうなりふり構わず驀進しました。
それからセパンに行くまでに、いろいろな出来事がありました。
その中には人に言えないような事や、思い出したくもない事も山ほどあります。
迷惑なヤツ呼ばわりや、人でなし・ろくでなしに近いような事を言われたこともありました。
何度イヤな思いをしたかわかりません!
人に何と言われようが必ず行く!と心に決めたのだから、ある意味本望ですが・・・(笑)
しかし「もうあきらめよう!」と何度思ったことか・・・
そのたびに助けて頂ける方が現れ、あたたかい気持ちに触れ、もう一度チャレンジする心を取り戻させてくれた真の友人達に心より感謝致します。
ほんとうは初参加のチームは500kmをこなしてから1000kmの出場が認められ、そして1000kmを完走して初めてセパン24Hの挑戦権が得られる仕組みになっています。
なのに初参加のボクのチームが1000kmへのエントリーを特別に認められセパンの出場権を得られたのは、今から考えれば最後のセパンとわかっていたマッド杉山のあたたかいお気持ちだったのでしょう。
ベースマシンが手に入ったのがFUJI1000kmの3ヶ月前、決定して作り出してからセパンまで8ヶ月です。
その短期間にFUJI1000km&ガムボール500kmナイトランの2回の耐久レースをこなしてのセパンなので、ある意味ギネス記録に匹敵する勢いでした。
ガムボール500kmでは寸前のところで優勝を逃すというハプニングもあり、このレースではある事情によりボクが走っていなかったのも何かの因縁としか言いようがない事実です。
やはり資金的な問題が一番ボクを苦しめました。
大きなスポンサーがほぼ決まっていたのにレース寸前に突然降りられて恨悪していたところを助けて頂いたアサヒ工作所様には、お礼の言いようもありません。
その他にも何人もの方がパーソナルスポンサーとして参加して頂き、その中には息子などの身内にもいろいろ迷惑をかけてしまいました。
マシンの完成度もまだまだ速く走れる要素をいっぱい残しながらコンテナに積み込むというまったくもって悔しい仕上がりとなり、全国のエッセファンには申し訳ない思いでいっぱいです。
助けて頂いたスポンサー様や仲間達にはお礼の言い様も無いぐらい感謝しています。
このプロジェクトはすべてをボク一人でこなしてきたので、何もかもがボクの心の中にあります。
今回のレースの内容としては、はっきり言って最低なレースをしてしまいました。
でも参加に至るまでの語りつくせない苦労を考えれば、過去最高のレースであったと自負しています。
レースには結果だけじゃ語れない数々のドラマが存在する、そんな事を心に留めて読んで頂ければ幸いです。
文中でチームメイトや他の参加者や主催者や現地の方に対して表現に紛らわしい言葉も出てくるやもですが、これもすべて面白おかしく真実をお伝えするためとお許しください。
そして何とも無理無謀なこの挑戦はいったい何のためか、誰も知らないと思います。
セパンへの挑戦のすべてを読んで頂ければわかると思います。
まあ、つまらん事ですが・・・♪

・Trip to MalaysiaⅠ
オレ、何せ初海外なもんで行く前から超不安イッパイ
でも若いときに夢見た「世界に出てレースをしたい!」という夢が、カタチはかなり違うが・・・(笑)いま実現しようとしているのだ!
何日間か仕事を休まなければいけないので、忙しくて前日までちゃんと用意も出来ず直前になって持って行く物をバタバタと詰め込む。
スーツケースを10回以上開け閉めしながら入れ直しした。
睡眠もあまり取れずに、関空行きのリムジンバスに朝7時ぐらいに乗り込み、8時過ぎに到着。
関空でのチェックインは何とかクリア~
出国ゲートも無事通過~
搭乗機は11:00発のエアアジアA333
なぜにエアアジア
そりゃ安いからに決まってるやん
それにマークがYRSと似てるやん(爆)
そして・・・
乗ってビックリ、CAがメチャイケイケ~
CAというより、もうコンパニオンですわ~
久々にこういう腰のくびれの女性に逢うたね~
エアアジア大好き!(笑)
久しぶりのドキドキ感に座席を間違うというハプニングもあったが無事離陸。
マレーシアまで6時間40分の空の旅である。
しばらくすると気圧の変化で耳に違和感を感じる・・・
その時はあまり気にはしていなかったのだが、その後ずっと耳鳴りに悩まされることになる。
昼食を取り、うとうとしているうちにKLIAに到着。
途中の機内販売でフリーのシムカードを買うためにに5RM渡したのに、カートに積んでなかったので「後から届けます!」って言ったのに持ってこなかった件は、カワイイから許~す。
空港ではまず入国ゲートを間違う。
空いてるって思って並んだら、そこはマレーシア人が帰って来たときに通るところで、外国人が入国するゲートとは違うんだ~
やっぱりいっぱい並んでいるところに素直に並んどけば良かった~
無事ゲートを通過してキャリーケースを受け取り空港の外に出てホテルに行くシャトルバスがあるはずなので捜すが無い
現地人にカタコト英語で聞こうとするが教えてくれてる返事が意味不明で理解できない。
それじゃタクシーでと思い並んでいたらどうもチケットを先に買わないといけないらしい。
チケットの自動販売機があるのでそこで買えというが、自販機の使い方が不明
すでにターミナルの端から端まで3往復ぐらいしている。
疲れ果て困っていると、一番最初にシャトルの乗り場を聞いたおっちゃんが話しかけてきて、60RMで自分のクルマで送ってやると言う。
おっちゃん、白タク稼業やったんか~
まあ仕方ないんで、送ってもらうことにする。
泊るホテルはコンコルドインKLIA
KLはクアラルンプール、IAはインターナショナルエアポートの略だ。
何とかホテルにたどり着きチェックインを済ましてホテルの中のレストランでで夕食。
4時過ぎにKLに着いたのにもう8時やん、あ~しんど~
後で解ったのだが、クアラルンプール空港は、KLIAとLCCTに分かれており、オレが到着した方はLCCTの方だったのだ。
30分毎にシャトルバスがあるのはKLIAの方なので、いくら捜しても無いはずだよ~
ちなみにLCCとはローコストキャリアの略でエアアジアは格安航空会社なので降りる場所が違うんだ!
でも今回の24時間耐久を走るセパンサーキットは、LCCTのすぐ近くだった。

・Trip to MalaysiaⅡ
こうして私のマレーシアでの毎日が始まったのですが・・・
マレーシア初日は携帯電話を現地シムで開通させるのとレンタカーの手配が最重要課題だぁ~
朝目がさめてそんな事を考えながら、空港に戻って換金もしなきゃって思って財布を捜すが無い!!!
部屋を家捜ししても無い!!!
ヤバイ!!!!!!!
昨夜最後に行った売店はまだ閉まっているので、もしかして落し物として届いていないかとフロントに聞いてみるが無い。
困っていたら、部屋の中で落とす事もよくあるのでみんなで捜してみようとマネージャーとフロントマンとガードマンがオレの部屋まで来てくれた。
みんなで家捜ししていたら・・・
ガードマンの兄ちゃんが帽子の下にあるのを発見してくれた!
そういえば昨夜、財布をディスクの上において万全を期して無意識に上から帽子を被せたかも~(爆)
3人に笑われまくりながら
ミンタ、マアアフ!
テリマ、カシ!テリマ、カシ!テリマ、カシ!
と言いまくって、引き取ってもらった。(笑)
次はレンタカーの手配だが、ホテルのフロントでお願いしてみると知り合いのレンタカー屋に聞いてくれ、1日200RMでキャッシュを用意して12時にフロントに来いとの事。
とりあえずシャトルバスでKLIAへ・・・
着いてビックリ!
なんじゃこら・・・
オレが到着したLCCAとは大違いのデカくてキレイの助やん!!!
まあええけど・・・
レンタカー代もいるのでとりあえず3万ほどRMに換金。
ここで少しリンギッドの説明。
通常リンギ(RM)やマレーシアリンギ(MYR)と略されている。
最近のレートはだいたい10000 日本円 (JPY) = 330.3604 マレーシア リンギ (MYR)ぐらいである。
物価的には日本の約1/3ぐらいか・・・
札は100・50・20・10・5・2・1リンギッドとある。
あとコインがあって、単位はセン。
100センが1リンギッドで50・20・10・5センと4種類だ。
レンタカーが1日200RMなので、3万換金しておけば何とかなるだろう。
無事換金してシャトルバスを待ってホテルに戻ってロビーで待っていたが、12時どころか1時を過ぎても来る気配が無い!
どうなってんの!って聞いたら、オレがKLIAの1Fバスターミナルの反対側にレンタカー会社のカウンターがたくさんあるところに行って借りないといけないと言う。
さっきそんなこと言ってないやん!と思ったが、ぐっとこらえてもう一度シャトルバスに乗ってKLIAへ・・・指示された場所に行くと業者が20件ほど並んでいる。
1件ずつカタコト英語で聞いていくが、すべての業者にノーカーって言われてしまった。
1件闇貸しみたいな感じで鬼金額を吹っ掛けられたが丁重に断った。
さて困った、レンタカーが借りれなければサーキットまで毎日タクシーを使わなければならない。
帰りなど何時になるか解らないので特に困る。
レンタカーが1台も無くなるとは、チャイニーズ恐るべし!!!
今日の夕方到着予定のチームメンバーを迎えにも行けない・・・
最悪だ~
とりあえず一旦ホテルに戻ってもう一度フロントで相談してみることにする。
チーフマネージャーが交代で若いやつに代わっていたが、そいつが何軒か電話をしてくれて1日180RMで明朝8時に持ってくるからロビーで待っていろと言う。
まあ苦労はしたが何とかなったとホッとして、次の課題の携帯電話のセッティングに掛かる事に・・・
でも何か不安感が残った。
何せその若いチーフマネージャー、昔オレが若いときに殴ったヤツに黒いか白いの違いはあるがそっくりやし・・・
そうこうしているうちにもう暗くなり始める。
チームメイトも申し訳なかったがホテルまでタクシーで来てもらって一緒に夕食!
携帯の現地シム化も苦労して20回ぐらいシムの抜き差ししながら最後は売店の兄ちゃんに助けてもらってやっと開通!
そしてマレーシア2日目の夜も更けていきましたとさ~

・Trip to MalaysiaⅢ
一抹の不安を残したまま迎えたマレーシア3日目の朝・・・
AM7時に朝食のレストランでチームメイトと集合。
セパンサーキットでのコンテナからのマシン&機材の積み下ろしは8時からなのだが、レンタカーの到着予定が8時なので待たざるを得ない。
ところが・・・
やはりオレのイヤな予感は的中~
いくら待っても来ない!!!
チームメイトに先にタクシーで行っておいてくれと頼むが、なかなか動いてくれない。
たぶん向こうに行ってからどうすればよいかわからないから動きたくないのだろう。
オレもどうするのかまったくわからないのだが・・・(笑)
まあオレがチームリーダーだからしょうがない。
とりあえず少し遅くなるむねK4-GP事務局の掲示板に伝言する。
あまりに遅いのでフロントマンに事情を言って昨日のチーフマネージャーにTELさせる。
そうすると、寝ているようで電話が出ないと言う。
この時点でオレは完全にブチ切れたが、チームメイトの手前でもあるので平然を装う!
結局タクシーでセパンサーキットに向かうことに・・・
サーキットに着くともうほとんどのチームが来ており、コンテナの開包作業が始まっていた。
とりあえず大会本部に遅れた詫びを入れ、コンテナからマシンや機材を出しピットの設営にかかる。
若い時世界チャンピオンを目指していた頃、早く海外に出てレースをすることを夢見ていた。
それが何十年もたった今やっと叶おうとしているというのに、感慨に浸る事すら出来ない。
海外でレースをするという事はこれだけ厳しいということか・・・
気分は最悪である!!!
しかし精神面でレースに影響が出てはいけないので、わざと平然を装う。
オレも随分大人になったものだ。
若い頃は気が短くて、チームや主催者や周りの人間にいっぱい迷惑をかけたばかりか、自分で自分の首を絞めてしまった苦い思い出が甦る。
ピットの設営とマシンの点検は順調に進み、昼食のお弁当を食べて少しすると完了した。
さあホテルまで帰る足が無い、どうしよう~
また思い出したようにムカついてきた!!!
とりあえず主催本部に相談してみる。
そしたら本部が泊っているホテル行きのバスに乗ってもいいって言ってくれた。
なんと優しい主催者だ!
素直にそこに乗っとけば良かったのだが、これまたヤヤコシイ事にどっかのチャーターリムジンタクシーに乗せてもらってホテルに帰ることになる。
乗せてもらえたのだと思っていたら、ホテルに着いたらウチのチームメイトがタクの運ちゃんと何やらもめている。
金でも要求しているんだろうなって思っていたら案の定だ!
どうでもいいけどすべての事がムカついてたまらない!!!
ロビーにちょうど昨日のマネージャーがいやがったから、殴りこそしなかったが日本語で思いっきりカマシてやったらソーリーって言いやがった。
それを聞いてオレは何か可笑しくなって、笑ってしまった。
ここはこんなところなんだと思うしかない。
こんな国にゃ住みたかねぇのぉ~
二度と来るかバカやろ~
なんて思いながら部屋に戻って明日の本番の事とか考えていたら、さっきのマネージャーが朝のレンタカーをもう一度持ってこさせるので、今日から3日間で借りてくれないかと言ってきた。
もう一度コイツを信じる気になんてサラサラなかったが、とりあえず足がいるし
「今すぐ持ってくるなら借りてやってもいいからとにかくクルマを見せろ!」
と言ったら6時過ぎにホントに持ってきやがった。
しょうがないので夕方だけど3日で借りてやることにした。
薄暗くなりかけていたがとりあえずサーキットまでの道を確かめるためにドライブに出る。
サーキットに着きかけたころチームメイトから電話が入り、クアラルンプールまでペトロナスタワーを見に行こうという。
オレはこの3日間、言葉が通じない中でのイロイロな出来事でフラフラなんだよ~
國際免許持ってるのオレだけじゃねぇか~  勘弁してくれよ~
って思ったが、グッとこらえる・・・
レース前夜に往復120kmの道程は結構キツかったが、マレーシアで観光的なことをしたのはこれだけだったので結果的には良かったのかもしれない。
それよりペトロナスタワーの夜景がすばらしくきれ~かったので、万事許そう!
そんなこんなで3日目の夜も更けていったのである。
いよいよ明日は本番である。
浜省の歌ではないが、
こんな気持ちのまま・・・

・SepangsⅠ
いよいよ本番の朝、ボクの部屋に6時集合!
集合と言ってもチームのメンバーはボクを含めてたった3人ですが・・・
例のいわくつきのレンタカーで、HOT-Kチームの河村選手のドライブでセパン入り!
シャレにもならんがこの苦労して借りたレンタカーには、昨夜のKL観光以外にはこの時とレース終了後にホテルに帰る時しかオレは使っていない。(笑)
そそくさとプラクティスの用意に入る。
マシンに燃料が入っていないので入れなきゃならんのだが、給油所にマレーシア人がAM7:30にしか来ないと言う。
マレーシア時間だからそれもどうだかわからないという。
プラクティスは8:00からだから大変だ。
まあここに来て焦ってもしょうがないので、ゆっくり行こうと心に決める。
タイヤがおニューなのでまず皮ムキからである。
それはオレがやることにした。
3周を7~8分目で走ったところでピットに戻り、すぐに水で急激に冷やすというオレにとっては初めての試みだ。
タイヤチェンジをして次のドライバーが試走に出て行く。
オレはこの3周だけしか走らない。
オレ、スタートドライバーだけど!(爆)
まあその昔ごく狭い範囲だがF1に一番近い男と呼ばれたこともあったオレだ、ヘッチャラさ~
というか、オレはここに来るために、そしてここを走るためにすべてをかけてきたのだから・・・
その後レッドフラッグが出たりしてチームメイトもあまり走れなかったようだ。
スタ前進行までの間に給油ルートの確認に行く。
K4GPはピット給油ではなく給油ルートを通らなければチャージできないシステムだ。
オクタン価は97と少し低いがボクがチューンしたエンジンは圧縮も低く抑えた燃費仕様なので特に問題はない。
その間に緊急リーダーミーティングがあってレース中に給油所へタンクローリーが入るのでその間給油が出来なくなるという。
普通じゃありえないことだが、それがマレーシアなのね~(笑)
しかしこれが24Hスタート後の最初のツマズキになろうとは、その時は努々思いもしなかった・・・

・SepangsⅡ
日本時間 13:00 現地時間 12:00
いよいよスタート!
スタートのタイミングもドンピシャで総合16位でローリングに入る。
かなりスローなローリングなので間合いをとりながらバックストレッチに出ると一気にスピードを上げる。
ルームミラーで後車を確認するとかなり遅れている。
最終コーナーを抜けストレート途中でグリーンランプを確認!
前車は目前だ!
一気に加速しながらRクラスの中に突入する。
1コーナーはとりあえず安全を第一にクリア・・・
2コーナーの下りを利用して1台をパスする!
さらに前を追いかけるが、まだ3周しか走っていないコースなので、4コーナーを減速しすぎて立ち上がりで失速!!!
ボクより前のマシンはすべて上のクラスなのでさすがに1ミスしたらもう離されるばかりである。
とりあえず1ポジションUPで2周目のコントロールラインを通過!
スプリントっぽい走りもここまで~
何と言ってもゴールは24時間も先である。
3週目に入り少しペースを落とすと後方に埋もれていた速いマシンが一気に迫ってきたので、無抵抗でパスして頂くことに…
気を取り直してラップを整え、当初の計画通りでラップを重ねてゆく。
レースプランは24Hの目標周回を400周とし3分30秒ペースで流すと、トータルで約40分以上のピット停止時間を取れる計算である。
このペースをキープすればタイヤやブレーキ等の消耗も最小限に抑え、確実に24時間持ってくれるはずである。
何周か回ると少し慣れてきたので、まわりの景色を見ながら今のうちに各コーナーのポイントを確認する。
これをやっておかないと夜間の走行で苦労することになる。
マシンはすこぶる快調である!

・SepangsⅢ
こうしてレースは24時間先の遥かなるゴールを目指して始まったのである。
なんとか無難にスタートできてホッとすると、今までの色んな出来事がこみあげてくる。
8耐でスタート直後の逆バンクで転倒された事や、鈴鹿1000kmでエンジン不調に陥り悔しさで唇を噛みながら走ったこと・・・
昔のいろんな悔しい思い出が頭の中を駆け巡る。
こんなに苦労してセパンまで来て、リタイヤだけはゴメンだ。
同じクラスの知ってるマシンに抜かれるとついつい踏み込みたくなる。
でも後の2人はまだまだ若いから、オレが限界まで押えておかないとたぶんタイヤもブレーキもマシン自体も24時間は持たないだろう。
ガマンほど辛いことは無い。
だから何も考えない事にした。
そうしてたら暑さも感じずノドも渇かず、給水も1度もとらずにあっという間に1時間半がたとうとしていた。
安堵感に包まれていたら突然ピットから連絡が・・・
必死にわめいているので緊急事態であることは間違いないのだが、まったく聞き取れない!
マレーシア初日からずっと耳鳴りに悩まされ続けていたのだが、ここに来てそれが災いするとは・・・
イヤホーンも外音が聞こえづらくならないようにわざわざ片耳の物を使ったのだが、それもまずかったのか!
マシンはすこぶる調子が良いのでトラブルは考えられない。
スタートで結構カマしたのでドライブスルーペナルティでもとられたのかとストレートでタワーを見るが、ボードも上がっていない。
いろいろ考えていたら集中できなくなって2度ほど接触しそうになったので、もう無視することにしてルーティーンどうりPM2:00ジャストにピットインしドライバー交代する。
後に解った事だがペトロナスにタンクローリーが入って給油渋滞になっていたのだった。
だからボクにロングステイントを要求していたらしい。
でも冷静に考えれば満タンスタートで初回は14L給油で満タンに戻るようボクが燃費調整して走っているから、無給油チェンジでも2時間は余裕で走れるので何ら問題ないのだ。
次のドライバーも当然の如く無給油でコースインしていったのでそのまま2時間行くだろうと思っていたら、何と戻ってきて給油に入ってしまった~
スピードの無いボクらにとってピットインのロスは命取りだ。
やっぱりオレ、走らずに素直に監督に専念するべきだったのか・・・って思った!
でもオレは、オレ自身がもう一度走りたいからやり始めた事なのだから監督専業なんて絶対イヤだ!!!
まあ、やってしまったことは仕方が無い。
元はといえばオレの突発性難聴と安物のイヤホンのせいだから・・・
後日談だが、セパンからの車両引き上げに富士に行ったときにねこまるさんとお話する機会があり、
優勝したネコマルチームはローリーの件をドラミで聞いた後に1ステをロングに変更して一気にトップに出たらしい。
ノンタイヤチェンジ(WKCの時に聞いたら交換されたらしいです)で燃料を最終20L余らすピットインの回数と時間を極力減らす作戦もまったく一緒だ!
前日のKLへのロングドライブの疲れか、残念ながらオレの頭にはその作戦がカケラも浮かばなかった・・・
レースはまだ始まったばかりだし、ここでオレが気落ちしたらチームの士気にかかわる!
オレは無線とか車載カメラとか大キライだ~、やっぱりサインボードが確実で1番いい・・・
そんな事を思ってボーっとしていたら、向こうからオレらのピットに歩いてくるヤツがいる。
オォ~
何と出張でタイに滞在中のH君じゃないか!
去年のWKC最終戦の時、「行けたら応援に行きます!」って言ってくれていたので、来てくれないかな~って心の中でひそかにおもっていたらホントに来てくれた!!!
オレ外には出さなかったが、本当に苦労していてその苦労もあの時点ほぼピークに達していたので、ホントにうれしかった。
ピットにずっといてくれる人間が1人でもいると状況を把握して対応するスピードが格段に上がる。
そしてこの後彼は、ボクの期待通りのすばらしい働きをしてくれることになる。
タイからマレーシアだよ・・・ なかなか来れないよフツー!

・SepangsⅣ
一度チャージミスがあったのとセカンドドライバーが軽い脱水症状を起こしたぐらいで、マシンはすこぶる快調にセカンドクールに入る。
スタートから2時間ずつで?いでいるので、ボクのステイントはPM6時~8時だ。
ドライバーチェンジはスムーズにいったのだが、ここで給油渋滞にハマってしまい20分以上のタイムロス。
シマッタ!
・・・と思ったがUターンして出て行ってもさっきの二の舞いだ、あきらめて並ぶしかない。
これはオレに「落ち着け!」と言う神からの言葉か・・・
(ちなみにNA優勝チームは、給油所が見える場所に人を置いてチャージタイミングを無線連絡でピットに送っていた)
もともとのレースプランの400周で総合10位以内、あわよくばクラス3位・・・
というのはあくまでも最高到達点であって、そんなにうまく事が運ぶわけが無い。
案の定もうとっくにその線は無くなってしまった。
シケた顔で給油してもらっていたら、オフィシャルの女性が「気を付けて頑張ってね!」って声をかけてくれた。
彼女自身もドライバーとしてこのレースを走っていることをオレは知っていたので、こんな事ぐらいでシケこんでるオレが恥ずかしくなった。
残された道でやれるところまで頑張る!
それしかない!!!
交代してからしばらくは明るかったが、やがて1コーナーの奥へ夕日が沈むと一気に暗くなる。
いよいよ魔のナイトセッションの始まりである。
明るい状態から一気に暗くなったので少し面食らったが、それほどペースは落ちない。
夜の帳が深くなるに連れ、前が見えないというより後から来るマシンのライトに目をやられる!
何度かクリッピングを見失うことがあったが、大事には至らず無事に次のドライバーにバトンタッチ。
今回のレースでこのセッションがなぜか一番長く感じられた。
次は勝負の深夜のダブルステイントなので少し休息をとろうと横になった瞬間、ミッションが入らなくなったと緊急連絡!
いったい何が起こったというのか・・・

・SepangsⅤ
ミッショントラブルといってもゆっくり操作すればシフト出来るらしいのでリンケージを止めている所のネジの脱落を疑い、H君に合うサイズのナットと必要工具をすべて用意させ待機・・・
S君にサイドからのジャッキアップを指示してピットインを待つ。
ファーストクールでマシンフィールを聞いたときに3・5速がやや引っかかると言っていたのでセカンドステイントで確認したのだが特に問題はなかったはずだ。
ピットインしてすぐにH君に潜ってもらって確認するが、フロア下のリンク取り付け部はちゃんと閉まっているという。
そこでもう1箇所考えられるのはシフトレバー上部のCクリップ抜け!!!
以前セカンドドライバーと同じぐらいの体格の方のエッセのミッションを整備した時も抜けていた事があった。
ボクが助手席側からコクピットに入りシフトレバーを上から押すとスコンと下がって正規の位置に戻った。
バラしてクリップを止めているヒマはないので、シフトする時に少し上から押し気味に操作するように指示して再スタートさせる。
まさかの部分のトラブルであった。
確かに点検はしていなかったが、通常メッタに外れるようなところではない。
たぶん身長が高いドライバーがシート位置をかなり後にして座ると2・4速でシフトノブが引っ張られる方向に力が掛かってしまうのだろう。
まあ抜けなければ特に問題ない部分なので、大事に至らずに済んで良かったのだが、大幅にタイムロスしたことには間違いない。
その後は何事も無かったようにサードドライバーとチェンジして順調にラップを重ねるも、順位が25位で固まったようにまったく動かなくなる。
近辺のピットではモニターがボクらのところにしか無く、まわりのチームも寄って来て固唾を呑んで画面に見入る。
上位陣はもう一つ上のチャンネルになるので、時々「すいません!」って変更されてしまう。
何となく悔しい!(笑)
トップ10とは大きく離されてしまいもう追いつく事は無理だが、何とか10番台にねじ込みたい!
深夜のボクのダブルステイントの追い上げが、このレースの最後のチャンスとなるだろう・・・

・SepangsⅥ
深夜のWステイント!
今回のレースでボクが考えたチーム最大の攻撃的作戦である。
下位からのポジションアップにしか使えないのが残念だが…
ボクの伯父は戦闘機乗りだった。
戦争で亡くなったので直接逢ったことはないのだが、夜間に目が良く見えたり長時間排尿をガマンできたり…
ボクの身体には少しだけその戦闘機乗りの能力を受け継いでいるようだ。
当時0戦でラバウル~ガダルカナル間の約1000kmを燃費飛行するとだいたい3時間、そして戦闘行動後にまた1000kmを帰還するのだから並大抵の精神力では持たない。
それを考えれば夜間の4時間走行ぐらいなんていうことはない。
ボクのシュミレーションは前半2時間を燃費走行し後半は2本のストレートと1・2セクターの高速部分だけ全開走行する予定だ。
レースはまだ半分を少し過ぎただけなので、タイヤやブレーキを無駄に消耗できない。
よ~し!と気合を入れてドライバーチェンジし給油に入る。
給油待ちは1台だけだったので、まずまず良いタイミングだ。
ロスも最小限でコースに戻れた!
夜間走行用に用意していたイエローシールドのおかげで視界はクリアだ。
タイヤに負担をかけないように、できるだけ大きいRで旋回させスロットルも一定を保つ。
低速コーナーは早めのアクセルオフでエンジンブレーキを有効に使い、
低いスピードで小さくしっかり曲がって直線的に立ち上がる。
この時間帯になると気温も少し下がり路面温度も低くなるので、純レーシングマシンのRクラスがガンガン攻めに入ってきた。
安全にラップされる為には基本的には避けない。
速くて余裕のあるマシンがラインを変えて抜いていくのがセオリーだ。
さすがに純レーシングマシンは速いし搭乗ドライバーもレースなれしている。
しかし下のクラスになるとドライバーの技量がマチマチなのがこのレース。
遅いヤツは退けろとばかりにケツベタで煽ってくる。
こうなるとルームとインサイドのミラーが眩しくて次のコーナーが見えなくなる。
夜間用にボンネット上などにライトを複数追加したマシンも多数あるのでやっかいだ。
2~3度コースを見失って危ない思いをする。
しばらくするとやはりというか当然というか、クラッシュが連続して起ってペースカーが入り長いローリングが始まった。
ボクの少し後で入ったみたいでラッキーな+1周を得られたようだ。
それでもシツコクゆっくり燃費走行しながらローリングの最後尾につける。
この時すでにロングステイントは2時間以上経過していた。
燃料計を見ると半分以上残っている。
よし、SC空けからペースを上げよう!
マシンの回収もそろそろ終わりそうなのでバックストレッチから最終にかけてリスタートの用意をする。
ここからはスタートの時と同じだ。
最終から一気に加速してストレートはピット側から抜きに入り、一気に1コーナーのインを取る。
1コーナを回り込んだら2は無理をせずアウト側へ回り高速右をインインで加速してさらに4コーナーをインから攻める。
案の定数台パスすることができた、が・・・
それ以降は後方の追い上げに防戦一方になってしまう。
ブレーキとタイヤを労わる走りではやはり限界がある。
それにストレートと高速区間を全開にしていたせいで燃量計が一気にダウンしてしまった。
でも折角上げた順位も落としたくないのでこのままのペースを維持することにする。
緊急ピットインもあったりで30分以上のステイントマージンはあるし、燃料も20Lのマージンを残しているので余裕である。
そんな事を考えていると燃料計が点滅しだす。
ファーストステイントの通信トラブルからボクはイヤホンをつけていないので、ストレートでパッシングしてチェンジの合図を送る。
急だといけないので3周合図を送ってピットに滑り込む。
予定より20分ぐらい早かったが、十分役目は果たせただろう。
本音を言うと、本当はもっと上位でこれを使いたかった・・・
このステイントでボクのドライバーとしての仕事は終わりだ。
後は若い2人に任せて監督業に専念である。
ホッとしたのも束の間、この後また予想外・予定外・想定外の出来事が次々と発生するのだ!

・Sepangs Ⅶ
ロングステイントが功を奏し21位まで順位を回復したエッセ123号車・・・
空もうっすら白み始め、もうすぐ日の出だ。
朝を迎えれば完走は見えてくる。
エンジンは快調なのだが気になる症状がではじめていた。
Gのかかるタイトコーナーでブレーキの消耗を示すチェックランプが2~3度点灯していたのだ。
エンジンオイルとブレーキオイルは20時間経過で補充予定であったのだが、消耗が少し早すぎる。
案の定セカンドドライバーが心配して連絡を入れてくる。
次のピットインで補充するのでなるべく消耗させないように指示する。
チェックランプには安全マージンを持たせてあるのでこのステイントの間は大丈夫だろう。
しかし何を勘違いしたのか、1時間走行で戻ってきてしまった。
ボクのロングステイントでタンクを空にし、それ以降は20Lを使い切りながらマシン少しでも軽い状態で消耗を軽減させる作戦のはずだ。
サードドライバーに確認すると一つ前のステイントがロングだったので、今回の走行はショートにすると言っていたらしい。
それじゃボクのロングステインとは何の意味も無くなってしまうじゃないか…
と思ったがブレーキの事もあるし、たぶん体力的にもそうとう辛いのだろう。
ボクもロングで乗った後だったので、疲れていて少し弱気になってしまいそのままピットインさせてしまった。
ブレーキオイルの補充はH君のおかげでウルトラスムーズに終わったのだが、タイヤを確認するとかなり消耗が激しい。
注意するように伝えてサードドライバーを送り出す。
何とか順位をキープしながら残り4時間に突入!
ついに最後の2ステイントだ。
ハブボルトのチェックを素早く済ませ、何事も無くもう一度セカンドドライバーを最後のステイントに送り出す。
後は若い二人に最後の追い込みをしてもらって、意地でも10番台のポジションに乗せたい。
しかしここでまたもや緊急連絡がはいり、タイヤがグリップしなくなってヤバイという!
日が昇り路面温度が上がって一気に消耗が進んだのであろう。
タイヤ交換せずにペースを落として完走を目指すか、ロスしてでも交換してもう一度攻めるか・・・
難しい選択を余儀なくさせられる。
残りはもう3時間余りなので、やるなら早い方が巻き返すには良い!
すぐに用意させてピットに入ってくるのを待つがなかなか入って来ない。
どうもコミニケーションがうまくいかない・・・
今回のレースはこれで何度目だろう、監督として不本意というか自分の不甲斐無さを嘆く。
残り2時間余りを残してピットインしてきたので、素早くタイヤチェンジを済ませ最後のドライバーを送り出す。
チェンジしたタイヤを見ると、やはり交換した方が良かったと胸をなでおろす。
しかしこれでまたまた25位までドロップダウンだ。
でもどのチームも最後の給油とドライバーチェンジを入れたようで運良く元のポジションに戻った。
ただボクらのマシンのスピードでは自力で順位を上げる事は不可能に近いので、このまま無事にゴールすることだけを祈るしかない!
さらにバタバタしたおかげでエンジンオイルの補充を忘れている!
2時間以上の全開走行になるのでガソリンも心配だ・・・
今回は最後に心配な要素を数多く残してしまった。
ガムボールの時も3位以内は確実と安心してウトウトしてしまったら、ガソリンを使いすぎて失格になってしまったので、今回はプラットホームで最後まで見守ることにする。
ふしぎと暑さは感じない。
灼熱の太陽を浴びながら周回する自分が作ったマシンを見ていたら、ふと吉村さんを思い出した。
そうPOPの事・・・
吉村さんとボクは師弟関係にある。
と言ってもボクが相模原のエンジンルームで無理矢理頼んで弟子にしてもらったのが・・・
「君がそれで良いんなら、ぜんぜんいいよ~!」
っていつもの高い声で言ってくれたのを思い出す。
そういえば今日は吉村さん張りにカウボーイハット風の帽子を被っていた・・・

・SepangsⅧ
24時間の長丁場もいよいよラスト1時間を切った!
ルマンでもそうだがこの最後の1時間もデスタイムと言われて必ず波乱が起こる時間帯だ。
総合1位はボクをセパンに誘ってくれたとも言えるねこまるさんのチームだ。
ウエストの神谷さんも乗っていたようだ。
自分のチームの事で精一杯であいさつも出来なかった。
ボクらのクラスでは先ほどまでトップだったHOT-KチームがRSC熊本にかわされたようだ。
RSC熊本さんもエッセをお持ちのようで昨日何度か言葉を交わしたが、実力のある方だとすぐにわかった。
さすがにレース巧者である。
同じメーカー車のAMS&WESTもクラストップ、総合でも上位に付けている。
何とは無く悔しさがこみ上げてくる・・・
今さら後悔してももう遅い!
せめて完走だけは外せない。
ファイナルドライバーはここまでロングディスタンス3戦を共に戦ってきた信頼のおけるドライバーなのでメッタなことは無いと思うが
マシンの方が心配だ。
オイル補給無しでエンジンは持ってくれるのか、ブレーキパッドは最後まで持つのか・・・
123号車コースオフ!!!
えっ!
1コーナー?
まさか!!!
モニターで確かめたら1○3号車だった。(笑)
聞き間違い・・・
よかった~
そうこうしているとゴール時間のカウントダウンが始まった。
3・2・1・0・・・
そして総合トップの299号車がコントロールラインを通過!
しばらくしてボクらのエッセ123号車も無事ゴール!
総合21位、NAクラスなら7位!
(公式結果は何故か最速のRクラスでクラス8位になっているのだが・・・)
ホッとすると共に疲れが一気に噴出してきた。
ドライバーに冷えたミネラルウオーター2本とポンダ回収のためのニッパーをH君に託してマシンに走ってもらい、ボクはとりあえずイスに座り込む。
やっと終わった・・・
いや、終わってしまった・・・
ここまでの苦労が疲れとなって一気に襲ってくる・・・
コース上では表彰式が行なわれている。
その後完走車全台でのパレードランが予定されている。
ボクは行く気にはなれないので、一人ピットの片付けに入る。
レースが終わったらすぐに撤収作業が開始され、マシンや機材はコンテナでまた日本に向け送り返さなければいけないのだ。。。

・SepangsⅨ
パレードランとかボクはあまり好きではないので参加しない事が多いのだが、時間内ならコースで止まって記念撮影して良い。
さすがK4-GP、F1で良く見るような画像が撮れるのは良い事だ。
皆がパレードランをしている間にボクはピットの撤収にとり掛かる。
どこへ何を入れるかボクしかわからないからだ。
ある程度やっておけば後はみんなに手伝ってもらえる。
工具にしろ機材にしろちゃんとしまっておかないと次に使う時にやっかいな事になるからだ。
これもメカニックとしては大切な仕事だ!
これが出来ないやつが最近多くて困ってしまう。
そうこうしているとパレードランからマシンが戻ってきた。
さっそくマシンのコンテナへの搬入が始まる。
機材をラックに収める者とコンテナ搬入に分かれて作業に掛かる。
富士で積み込んだ時よりは手馴れたのか皆動きが早い。
意外とスムーズに終わりピットに座り込んで解散を待つ。
ふと見ると優勝したねこまるさんがキャリーケースを枕に気持ち良さそうに転寝しておられる。
ボクも一人になりたくて皆と離れたピットで少し眠った。
セパンのピットに気持ちの良い微風が流れる。
レースとしての結果は決して良くはないが、ここまで来れた事は何にも換えがたい。
ホントよくやったよオレ!
そう思うと今までに無い満足感がこみあげてきた。
セパン24Hありがとう・・・
そしてセパンサーキットにお別れのキスを・・・
YRSステッカーをピット出口の柱にチュー!(笑)
今年のF1第2戦マレーシアGPはここセパンで3月22日~24日に行なわれる。
その時まで残ってるかな~(笑)
そして例の曰く付きのレンタカーで3往復しながらHOT-Kチームと共にホテルに戻る。
チームメイトは今日の便で帰国するのでここでお別れだ。
労を労ってシャトルバスを見送る。
マシンを止めることなく24時間を走り切れたのは日本を代表するエッセスペシャリストの彼らと組めたからこそだ。
たぶん他のメンバーでは成し得なかったであろう。
出張中のタイからわざわざ来てくれたH君にも本当にありがとうと言いたい。
君たち皆のおかげでこの24Hという果てしなく長い戦いをを完走する事が出来た。
今は感謝の気持ちでいっぱいだ。
ありがとう!!!
マレーシア最後の夜なので外に出て軽く飲みたい気分だったのだが、
疲労に負けてホテルのレストランでディナーを取る。
部屋に戻ってベッドに横になったと思ったら一瞬にして朝まで眠っていた。

・Sepang Ending
平凡な順位ではあったが、ここに至るまでの多くの苦労を考えるとこの上ない達成感がこみあげる。
それは我々だけではなく、このレースに参加したすべての人たちが感じているに違いない。
ボクはこのレースに、心をこめて感謝と喝采を送りたい。
ま~ぁ、これがオレの還暦記念レースにしようと思っていたのは、だれにも言ってなかったけどね~
人生の節目の良い思い出になりました!
みんなお付き合いありがとう!!!(爆)

'2013 Sepang24H machine specification
YRS ASSET ESSE 658 GP-2
'2013K4-GP Sepangs 24 hour endurance race
■Specification
・Engine:658cc,Watercooled inline3 DOHC12Valve
・Maxhp:43kW(58ps)/7200rpm
・Maxtq:65N・m(6.6kg・m)/4000rpm
・Transmission:5Speed Ver.3
・Differential:T/StypeLSD
・Suspension
F:MacPherson strut coil spring/6K
Spiegel Height Adjustable shock absorber
R:Torsion beam coil spring/6K
Spiegel Height Adjustable shock absorber
・Brake
F:Disk
CKR High performance racing brake pads
R:Drums (leading trading)
CKR High performance racing brake shoe
・Tire Size
Wheels:RAY'S KCdecor A●LAP 6"x 13"+40 PCD100
Tires:KUMHO ECSTA V700 V70A 175/60R13

■General comment Sepang24H
周回数:400→378
ピットイン回数:11→14
消費燃料:250L→230L
燃費:2095.254km/230L=9.1098km
ベストタイム:3:08.345/358L
◆トラブル
・ミッション
シフトリンケージ抜け
・ブレーキオイル補給
24Hだともう少し消耗が少ないパッドの方がベター
・タイヤ消耗
V700はよほど慎重に走らないと24Hは持たない
・エンジンオイル
後半に約100ccの補給が必要
◆結果
総合:21位
クラス:8位(NAなら7位)